MRJ、受注キャンセル懸念も 納入最大7年半遅れ

MRJ、受注キャンセル懸念も 納入最大7年半遅れ
…薄れる優位性
2017.1.24 06:33
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MRJ事業について説明する三菱重工業の宮永俊一社長=23日午後、東京都港区


 三菱重工業は23日、開発中のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」について、2018年半ばを予定していた初号機引き渡しの時期を20年半ばに2年延期したと正式発表した。一部装備品の配置を変えたり、電気配線の設計を変更する必要が生じ、現状の納期では間に合わないと判断した。延期は5度目。「YS-11」以来、50年ぶりの国産旅客機は、最大の正念場を迎えている。
 今後は、引き続き安全性を認証する型式証明の取得に向けた作業を進める。また、MRJ以降の次世代機の技術開発を別のチームに任せ、開発作業を効率化する方針も明らかにした。
 宮永俊一社長は都内で開いた会見で、延期理由を「世界で販売していく上で、安心安全の面で最高水準であると証明するため」と説明。延期が重なったことについては「開発前の情報収集やリスク分析についてもう少し勉強すべきだった」とした。
 一方、08年の事業開始時に1500億円程度と見込んでいた開発費が、数千億円に膨らんでいるとみられることについて、「(現状の)想定よりさらに3~4割増加する」と見通しを明らかにした。

今回の延期で、MRJの納入は当初予定から最大7年半遅れることになり、ライバルのエンブラエル(ブラジル)などとの受注競争がさらに不利となるのは必至だ。受注済みの447機についても、キャンセルが懸念される。
 MRJはこれまで、昨年7月に基本合意したリース会社、ロックトン(スウェーデン)の20機を含め、計447機を受注している。ただ、半数近い200機余りはキャンセルが可能となっている。
 宮永社長は「現段階でキャンセルは一件もない。今後はできる限り契約を維持したい」と説明。発注元のANAホールディングス(全日本空輸)も「非常に残念だが、ローンチカスタマー(初号機の顧客)として引き続き開発をサポートしていく」と話す。
 しかし、発注した航空会社の運航計画策定に支障が出るようなら、キャンセルにつながる可能性は捨て切れない。ANAHDが昨年6月、開発の遅れるMRJの代わりにボンバルディア(カナダ)の小型旅客機を3機発注するなど、「機会損失」も膨らみつつある。

MRJは、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製の最新エンジンを搭載し、燃費性能が従来機に比べて2割ほど高い。これに対し、ライバルのエンブラエルも同型エンジンを搭載した新型機「E2」を20年にも投入する計画。納期の差がなくなるほど、優位性は薄れてしまう。三菱重工は1000機以上を販売し、70~90座席の小型ジェット旅客機市場で半分のシェアを獲得したい考え。エンブラエルやボンバルディア以外に中国やロシアのメーカーもひしめき合う中、目標達成に向けこれ以上の足踏みは許されない。(井田通人)
 ■MRJ開発の経緯
 2007年10月 三菱重工業が販売開始
   08年 3月 全日本空輸から25機受注し、事業化を正式決定
       4月 三菱重工子会社の三菱航空機が事業開始
   12年12月 米スカイウェスト航空から200機受注
   13年 8月 3度目の納期遅れを発表
   15年11月 愛知県営名古屋空港から初飛行。飛行試験開始
      12月 4度目の納期遅れを発表
   16年 7月 ロックトン(スウェーデン)から20機受注で基本合意
       8月 米国に向かっていた試験機が2日連続で引き返し
       9月 試験機が米国に到着
      10月 米国での試験飛行開始
      11月 三菱重工が社長直轄の事業推進委員会を設置
   17年 1月 5度目の納期遅れを発表

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